古くから稲作など農業が盛んだった日本人にとって、餅というのは正月などのいわゆる「晴れの日」に食べる、特別な意味を持つ食べ物でした。正月にやって来ると言われている年神様をもてなす為に、餅や大根、にんじん、といったお供え物を用意する風習があり、旧年の収穫に感謝し、新年の豊作祈願や健やかに過ごせるようにお祈りをしたそうです。そして、正月に初めて汲んだ若水と、初めて焚いた火で、具材を煮込んで食べたのが、お雑煮の始まりとも言われています。お雑煮は、神様への捧げものを分けて頂くという意味がある食べ物だったのです。それを示すように、正月には祝箸といって、通常の箸とは違い両方の先端が細くなっている箸を使用します。これは、片方は人間が、もう片方は神様が食べる為に作られた、まさにお雑煮が誕生した由来を表しているといえる、縁起の良い箸です。